マンションの賃借人に、管理組合の集会決議の効力は及ぶか?

マンションの一室を借りている賃借人に、マンション管理組合の集会決議の効力は及ぶのでしょうか?

賃借人からすれば、「自分の知らないところで決められたことに、どうして従わなければいけないの?」ということになるでしょうし、管理組合からすれば、「みんなで決めたルールなのだから、賃借人にも従ってほしい」ということになりそうです。

共同の利益に反する行為はいけません

この点、まず、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)という法律では、「占有者」(賃借人)は、区分所有者と同様、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と定められています(6条1項・3項)。

ですので、特に管理規約や集会決議の定めをするまでもなく、賃借人は、住民みんなの利益に反するようなことはしてはいけません。

規約や集会決議の効力が及ぶ場合

他方、規約や集会決議の効力は、区分所有者以外には及ばないのが原則です。

しかし、それでは不都合が大きいので、区分所有法は、「占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」と定めています(46条2項)。

すなわち、賃借人(占有者)は、建物等の「使用方法」については、区分所有者同様、規約や集会決議に従わなければなりません。マンションの使い方については、賃借人も決められたルールを守りましょう、ということですね。

ただし、あくまで「使用方法」についてですので、それ以外のことがらについては効果が認められません。たとえば、「賃借人は管理組合に毎月お金を払いなさい」、と規約や決議で定めても効果がないということになります。

賃借人が集会に出席?

ちなみに、建物等の使用方法について決議をするような場合で、賃借人が利害関係を有するときには、建物内の見やすい場所に、集会開催に関する掲示をしなければならないことになっています。この場合、賃借人も、集会に出席して意見を述べることができます(区分所有法44条・占有者の意見陳述権)。

マンションを借りている方は、掲示に注意した方がいいかもしれませんね。

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