グリー、モバゲーなどの「ガチャ商法」

「グリー」や「モバゲー」などの、「コンプリート(コンプ)ガチャ」と呼ばれる商法がニュースで話題になっていますね。

法的には、これらの手法が、景品表示法にいう「懸賞」に当たるのかどうかが、まず問題になるように思われます。

「懸賞」って?

では、景品表示法にいう「懸賞」とは何なのでしょうか?

「景品表示法」というのは略称で、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」という法律です(「景表法」と略すこともあります)。

この法律には、「懸賞」という言葉は出てきませんが、「内閣総理大臣」(消費者庁発足以前は「公正取引委員会」)が「景品類の提供に関する事項」を定めることができるとされています(第3条)。

これにもとづき、公正取引委員会が「懸賞」に関する告示を出しており、消費者庁のHPでも引用されています。

http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/keihin/keihingaiyo.html

これらの告示によれば、「懸賞」とは、「商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供すること」をいうとされています。

この「景品類」にもまた定義があり、「(1) 顧客を誘引するための手段として、(2) 事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する (3) 物品,金銭その他の経済上の利益」のことを言います。

この「懸賞」に当たる場合には、景品類の最高額(取引額の20倍or10万円)、総額(懸賞に係る売上予定総額の2%)、カード合わせの禁止など、いくつかの制限を受けることになります。

カード合わせって?

「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞」のことを言い、告示で禁止されています。たとえば、お菓子の袋のなかに、戦隊もののキャラクターのカードを入れておき、全員のカードがそろったら景品と引き換える、といった方法のことです。

景品の価額なんて、わからない場合もあるのでは?

景品類の価額の算定基準についても告示があり、原則として「(1) 景品類と同じものが市販されている場合は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格による。(2) 景品類と同じものが市販されていない場合は、景品類を提供する者がそれを入手した価格、類似品の市価等を勘案して、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入することとしたときの価格を算定し、その価格による」とされています。

違反するとどうなる?

これらの制限に違反した場合には、消費者庁長官は,当該提供を行った事業者に対し,景品類の提供に関する事項を制限し,又は景品類の提供を禁止することができるとされています。

消費者庁の見解は?

ニュースによれば、消費者庁は、「コンプリート(コンプ)ガチャ」で手に入るものが「景品類(経済上の利益)」にあたるかどうかを検討した上で、場合によっては「カード合わせ」等の規定の適用を検討するということだろうと思います。消費者庁は「近く見解を公表する」とのことですので、正確なところはまだわかりませんが、注目したいと思います。

(追記)

消費者庁の見解です。

http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120518premiums_1.pdf

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